肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、なかなか症状が出にくい為、早期発見がしにくく、症状が現れた時にはかなり病気が進行している場合が多いです。
肝臓は私たちの体にとって主要な働きをする器官ですので
肝機能が低下したまま放置していると、様々な病気の引き起こす原因となってしまいます。

肝臓の病気


肝臓の病気は“脂肪肝→肝炎→肝硬変”と進行し最終的には肝臓がんに侵される可能性があります。

ただ、肝臓病と言ってもウィルス感染によっておこる「ウィルス性肝炎」と、生活習慣病が原因でおこる「アルコール性肝炎」や「脂肪肝」などがありますが、どちらが原因であっても病状を放置しておくと肝硬変や肝臓がんに至ります。

ウィルス性肝炎とは?


急性肝炎の主な原因はウィルス感染です。
急性肝炎が急激に悪くなる状態を劇症肝炎と言います。

急性肝炎は頭痛・発熱・全身の倦怠感・関節痛・食欲不振など風邪に似た症状が現れた後に黄疸が現れます。
慢性肝炎は急性肝炎が完治しきれず、半年以上慢性化した状態です。

肝臓の病気の中で発症率は少ない劇症肝炎は黄疸・風邪に似たような症状が現れた後、出血傾向・脈拍が激しくなる・呼吸が荒くなる・表情が乏しくなる・意識障害が出る・昏睡状態など重篤な症状になります。
重い合併症を引き起こすことが多く肝臓病の中では極めて死亡率が高いのが特徴です。
一般的に無症状ですが、人によっては食欲不振・吐き気・全身の倦怠感を感じる方もいます。

肝炎ウイルスは現在、A型・B型・C型・D型・E型の5種類が分かっています。
これらのウイルスによって起こる肝炎をそれぞれ、
A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎・D型肝炎・E型肝炎といいます。
多くの場合、数週間で回復しますが、一部の肝炎(特にB型肝炎やC型肝炎)は、
慢性肝炎へと進行し、その中から肝硬変、肝がんを発症する場合もあります。

A型肝炎ウイルスは主に経口感染するウイルスで、
慢性化することは少なく、二度と発病しないのが特徴です。
直径27~28ナノメートルほどの大きさのウイルスで、A型肝炎ウイルスの潜伏期間は2~6週間です。

D型肝炎ウイルスは、少し特殊なウィルスとして知られており、
地中海沿岸の地域(特にイタリア)で多く発生します。
D型肝炎ウイルスは、B型肝炎ウイルスが共存している場合にだけ増殖できるウイルスで、
B型肝炎患者にしか感染しません。

E型肝炎ウイルスは、ブタ、シカ、イノシシ、ウシなどの動物の肉から経口感染しますので、
生食は避け、加熱を十分に行うことにより感染を予防することができます。

急性肝炎が進行すると


急性肝炎は主に、肝炎ウイルスの感染や薬剤アレルギーが原因で起こりますが、急性肝炎を初期の段階で診断することは非常に困難です。

なぜなら急性肝炎の症状が、風邪と勘違いされる場合がよくあるからです。

発熱・のどの痛み・食欲不振・吐き気・嘔吐・下痢・倦怠感など、いわゆる風邪と似たような症状なのです。

風邪に似た症状が治まったころ、濃い色の尿や黄疸が出てきます。
このような症状が現われると、医師は肝臓の病気を疑い血液検査などを行い診断・治療します。

急性肝炎は一時的な病気で、早期にしっかりと適切な治療をすればほとんどの方が完治する病気です。
しかし、ごくまれに急性肝炎から劇症肝炎へ進行することがあります。
劇症肝炎は急性肝炎のなかでもとくに重症で、肝細胞が急激に壊死することにより、黄疸や腹水、肝性脳症などの症状が現れます。

また、急性肝炎が治りきらずに肝細胞の破壊と修復が6ヶ月以上に渡って続いているものを、慢性肝炎といいます。
慢性肝炎も自覚症状は少なく、慢性肝炎と診断された方は偶然見つかったケースも多いのです。
慢性肝炎が進行すると肝臓が硬くなる線維化と呼ばれる現象が進み、肝硬変となります。

生活習慣病が原因でおこる肝臓病


暴飲暴食を繰り返したり、ストレスを溜め込むような生活、長年の不規則な生活、過度なアルコールの摂取は肝臓が疲れやすくなり、肝機能が低下してしまう原因となります。
内臓をしっかりと休めてあげるためにも、規則正しい生活やバランスの良い食生活を心がけましょう。

肝臓の異変が起こる初期の状態が「脂肪肝」です。

もともと肝臓はエネルギー源として脂肪を作り、肝細胞の中に脂肪を蓄える場所ですが、脂肪がたまりすぎた肝臓は肥大(バルーン化)してしまい、肝細胞が圧迫しあうことで血流が悪くなり肝細胞が壊死したり、肝機能が低下してしまいます。

食べ過ぎや飲み過ぎにより、肝臓にコレステロールや中性脂肪が溜まった状態で、動脈硬化をはじめ様々な生活習慣病の原因となります。

尚、脂肪肝は肝臓内の肝細胞の30%以上が脂肪化している状態です。

脂肪肝は食事療法・運動療法で改善できる病気なのに、脂肪肝を放置していると、肝硬変、肝細胞がんへと進行する恐れがありますので、脂肪肝を甘く見てはいけません。

薬剤性肝障害とは?


薬によって肝臓の機能が障害されることを薬剤性肝障害といいます。
さまざまな薬で起こる場合があり、その薬の服用を中止すれば治りますが、
その薬を再び服用すると、さらに強い肝障害を起こします。

薬剤性肝障害には2種類あり、アレルギー性肝障害中毒性肝障害の2タイプがあります。
アレルギー性肝障害は、薬の成分に対してアレルギー反応が出るもので、
人によってどんな成分でも発症する可能性があります。
特に、抗生物質や解熱鎮痛剤、降圧剤などの薬で発症する場合があります。

中毒性肝障害は、薬物自体.またはその代謝物に含まれる毒性が、
肝臓に直接作用することで起こる肝障害です。
特に、毒キノコや除草剤、クロロホルムなどで発症する場合があります。

薬剤性肝障害を予防するためには、過去に自分が何らかの問題
アレルギー症状を起こしたことがある薬があれば、
きちんと薬手帳などに控えておき、必ず医師にそれを伝えましょう。
現在服用中の薬やサプリがある場合に医師から他の薬を処方してもらう場合も、
必ず医師に伝えてから新しい薬をもらいましょう。

肝硬変とは?


急性肝炎が治りきらず6ヶ月以上に渡って続いているものを慢性肝炎といいますが、さらに慢性肝炎が進行すると、肝硬変になります。

肝細胞が広範囲に渡って死滅・減少し、細胞が繊維化され肝臓が硬く変化する病気です。
壊死してしまった肝細胞が再生することはなく、元に戻りません。

肝硬変は代償期非代償期があり、代償期とは症状がほとんどない初期の時期のことです。
非代償期になると、さまざまな症状や合併症が起きてきます。
肝臓病特有である黄疸が出て、皮膚が黄色くなり白目が黄色くなります。

また、毛細血管が放射状にクモの足のような形に盛り上がる様に見える、クモ状血管腫が浮き出てきます。
さらに、むくみ(浮腫)、お腹に水がたまる腹水、胸に水がたまる胸水なども生じるようになります。

肝硬変になってしまうと、肺がんの発症リスクが非常に高まりますし、さらに進行すると肺不全になってしまい、肝臓移植が唯一の治療法となってしまいます。

肝硬変になると、身体に危険を及ぼすさまざまな合併症を引き起こします。
代表的な合併症は4つあります。


黄疸

肝硬変の非代償期になると、胆汁が排出される経路に何らかの異変が起こり、血液中に胆汁色素が増加し、皮膚や眼球粘膜が黄色くなります。

腹水

肝硬変によって肝臓が硬くなると肝臓内の圧力が高くなり、血流の入り口である門脈圧も高くなります。
すると、血液中に水分を維持する働きがあるアルブミンが減少し、浸透圧が変化してしまうことで、血液中に水分を維持しておくことができず血液中の水分が外に漏れ出して腹水が溜まります。

肝性脳症

肝硬変などの肝機能障害になると、肝臓の解毒作用がうまく働かなくなります。
アンモニアも肝臓で解毒されず血液中のアンモニア濃度が高くなると、それが脳に影響を及ぼし脳症が起こります。
その結果、アンモニアの毒性によって脳の働きを阻害して、意識障害や精神神経障害、重度の場合は昏睡状態に陥ってしまう危険があります。

食道・胃静脈瘤

肝臓へ流れ込む血管である門脈の血流が肝臓に入れなくなり、胃や食道の静脈に迂回して、血流を処理しきれなくなった静脈がパンパンにふくれて静脈が瘤のようになります。

肝臓病の進行による原発性肝がん


肝がんには大きく分けると、転移性と原発性の2種類があり、
転移性は他の臓器にがんができて、それが血管やリンパ管を通って肝臓に転移するものです。
肝臓病が原因で起こるのが原発性の肝がんです。

原発性肝がんには、肝細胞に起こる『肝細胞がん』と、
胆汁の通り道である胆管細胞に起こる『胆管細胞がん』の二種類があります。
原発性肝がんのうち、肝細胞がんが90%を占めています。
そして、原発性肝細胞がんの約60%はC型肝炎ウイルス、約15%がB型肝炎ウイルスによるウイルス性肝炎から起こると言われています。

ウイルス性肝炎は、慢性肝炎・肝硬変・肝がんと進行する傾向があります。
慢性の炎症の際に、活性酸素が過剰生成され、増えすぎた活性酸素によるダメージで肝細胞に障害を起こし、がん化すると考えられています。
発がんのリスクを減らすためには、慢性肝炎の段階でしっかりと治療して炎症を抑えることが重要なのです。

肝臓病が発症した時の症状

症状→黄疸
疑われる病気→・肝硬変・急性肝炎・胆石や胆がんなどの胆道系の異常
●血液中に胆汁の成分であるビリルビンという黄色い色素の濃度が以上に高くなり、
白目や皮膚が黄色っぽくなります

症状→腹水・むくみ
疑われる病気→・肝硬変・慢性肝炎・アルコール性肝炎
●肝臓のアルブミンの合成が異常をきたすことで、体内の水分調整ができなくなって、尿の出が悪くなり、お腹に水が溜まったり足のむくみがおこります。

症状→クモ状血管腫
疑われる病気→・肝硬変・急性肝炎・妊婦
●肝硬変などで肝機能が低下すると、女性ホルモンであるエストロゲンの上昇が原因で、
小動脈の血管が拡張するために、前胸部、首、肩、腕などにクモが足を伸ばしたような赤い斑点ができます。

症状→手掌紅斑
疑われる病気→・肝硬変
●女性ホルモンであるエストロゲンの上昇が原因で、手のひらの毛細血管が異常に拡張し、
手のひらの特に膨らんだ部分に赤い斑点ができます。

症状→女性化乳房
疑われる病気→・肝硬変・アルコール性肝炎
●肝臓での女性ホルモンであるエストロゲンが十分に分解できず、男性でも乳房がふくらんできます。

症状→血小板の減少
疑われる病気→・肝硬変・慢性肝炎
●ウイルス性肝炎が進行した場合、血小板の減少がみられ、出血が止まりにくくなったり、皮下出血により青あざができやすくなります。

症状→脂肪便
疑われる病気→・肝機能低下
●脂肪を沢山含んだ食事をしていると肝機能が低下し、胆汁の合成が不足するため、
脂肪の消化吸収が低下します。そのため脂肪便(便の色が白い)が出やすくなります。

正常な肝臓の働き


肝臓の重さは約1200グラム、人体の中で最も重く、最も大きな臓器です。
肝臓は多くの役割を持っており、主なものは「代謝」「貯蔵」「解毒」「胆汁の生成」になります。

私たちが食べたものは、そのままの状態では体に栄養として吸収できないので、
胃や腸で消化・吸収されたあと肝臓に送られ栄養素として各器官が使いやすい形に作りかえられるのです。
肝臓のこうした働きを「代謝」といい、三大栄養素である糖質や脂質やタンパク質をはじめ、
何種類もの栄養素の代謝を行っています。

そして、脳にとって必要なエネルギー源であるブドウ糖を貯蔵しているのが肝臓です。
必要に応じて補給できるよう、備蓄しているのです。

また肝臓は、体内に取り入れられたアルコールや食品添加物・薬剤など、
体にとって有害な物質を無毒化して、体外へ排出する解毒の働きをしています。
例えば、血液中に入ったアルコールは肝臓に運ばれ、アセトアルデヒドという有害物質に分解されたあと、
無毒な酢酸に変えられて、肝臓から血液中に出ていきます。
この酢酸は、最終的に二酸化炭素と水に分解されて尿などにより体外に排出されます。

さらに肝臓には、脂肪の消化・吸収のための大切な役割を果たす胆汁を作ります。
肝細胞内で、コレステロールを酸化して胆汁酸を作り、
脂肪の消化や吸収を助ける黄褐色の胆汁の生成をしています。
肝臓からは1日におよそ700ml~1Lの胆汁が生成され、
これにより肝臓に老廃物が溜まることなく正常に働いています。
また、胆汁には殺菌機能もあり、侵入したきた細菌やウイルスから体も守る働きも行います。

毎日お酒を飲み続けると?


アルコールは体内に入ると、肝臓に運ばれてアセトアルデヒドに分解されます。
アセトアルデヒドは肝臓以外の臓器に害を及ぼしてしまいます。
そのため、無毒な酢酸に変えられ、その後水と炭酸ガスに分解され、
体外へ排出されます。

しかし毎日アルコールの飲酒を続けていると、アセトアルデヒドが脂肪の分解を抑制し、次から次へと中性脂肪が合成されることになり、肝臓が働き過ぎた状態となり、結果脂肪肝やアルコール性肝硬変などの肝機能障害を引き起こしてしまいます。

ちなみに、多量飲酒者とは1日に平均60g以上のアルコールを飲む方のことです。
大量飲酒を男性なら20年以上、女性なら12年以上続けると、肝硬変になる可能性が高まります。
男性より女性の方が、少ない量の飲酒で肝障害へ進展することがわかっています。

肝障害を引き起こさない為にも、働き続けている肝臓を労わることが大切で、
できれば一週間に一度は休肝日を設けることをお勧めします。

肝臓の働きを助けるサプリメントを摂取して、肝臓を健康に保ちましょう。