高脂血症が進行すると、心臓をとりまく血管が詰まり、冠動脈疾患を引き起こすリスクが高まりますので、基準値に戻すため生活習慣を改善させなければなりません。

しかし、生活習慣の改善を3~6ヶ月間行っても基準値に近づかない場合は、薬物療法を加えることが検討されます。

また、冠動脈疾患のリスクがかなり高いと診断された場合は、最初から薬物療法が用いられることもあります。

用いられる薬は、血液中の脂質の状態によって異なります。

長期間の薬の服用が必要

高脂血症の治療は3か月~6か月は生活改善だけで目標数値までコレステロールを下げるのを行います。

よって、6か月間、医師の指導の元、行われた治療の末に薬という選択を医師から告げられた場合、薬に頼るしかないと医師が判断したと解釈する必要があります。

薬での治療に切り替えたからと言って、今までの生活習慣を辞めて言い訳ではなく、さらに薬による治療を追加する事で冠動脈疾患のリスクを下げるようにしているため、コレステロール値を目標まで下げるのは引き続き必要です。

ここで覚悟が必要なのが、薬を始めると薬を止められなくなる、つまり一生飲み続ける事になります。
なぜなら、生活習慣でコレステロールを落せなかったので薬でなんとか下げている状態な訳だから、薬を止めるとあっという間に数値は上がってしまうからです。

もし、薬を止めたいのであれば、以前やったせ活習慣改善をもっと厳しく行い自己管理を徹底する必要があり、もちろん医師への相談も必須です。

薬の種類

高脂血症の薬には、肝臓でコレステロールが合成されるのを抑制する薬・コレステロールを体内から排出を促進する薬・肝臓で中性脂肪が合成されるのを抑制する薬があります。

スタチン系薬剤

スタチン系薬剤はコレステロールの合成を抑制する日本で開発された薬で、現在は世界中で使用されています。

血液に含まれたLDLコレステロールは肝臓で合成され肝臓には蓄積されていきますが、肝臓にコレステロールが溜めておけなくなると、そのまま血液の中にLDLコレステロールが居座り続け、血中のコレステロールが高くなってきます。

そこで、血液から送られてくるLDLコレステロールを肝臓で合成させなくするスタチン系薬剤を投与すると肝臓に溜まるコレステロールが少なくなり不足します。

そのため、血中のLDLコレステロールを肝臓が積極的に取り込もうとするため、血中のコレステロールが減少します。

だから、 高LDLコレステロール血症の場合は、LDLの値を下げる効果のあるスタンチンを使用します。

この作用だけでなく、スタチン系薬剤は、脂質プラークが破裂しにくくする働きやHDLコレステロールを増やす働きがあります。

スタチン系薬剤の副作用

肝機能障害と横紋筋融解症があります。

横紋筋融解症は横紋筋細胞が融解し筋細胞内の成分が血中に流出する症状で肝機能の低下や腎不全による死亡リスクもある病気です。

飲み合わせが危険な薬としてフィブラート系薬剤やニコチン酸製剤、シクロスポリン・マクトライド系抗菌薬があります。

まらグレープフルーツもジュース内の酵素により薬の血中濃度が高くなるため注意が必要です。

レジン

レジンはコレステロールを体内から排出を促進する薬です。
コレステロールは肝臓で作られる胆汁酸の原料になっているので胆汁酸にはコレステロールが含まれます。

胆汁酸は胆のうから放出され、再び小腸で吸収され肝臓に戻り」、再び胆汁酸の材料となる堂々巡りを行っています。

そこで、レジンを服薬すると、小腸で胆汁酸が再び吸収され肝臓に戻るのを阻害します。

つまり胆汁酸の堂々巡りを止める働きをします。
すると、肝臓で胆汁酸を作るためのコレステロールが少なくなるため、肝臓は血中のLDLコレステロールを積極的に吸収しようとします。

レジンの副作用

レジンは胆汁酸と合成し体外に排出されるため、副作用的な害を及ぼしにくいとされています。

しかし、レジンはLDLコレステロールは下げるものの、中性脂肪は高めてしまうため中性脂肪が高い患者には処方が注意されている薬です。

フィブラート系薬剤

肝臓でコレステロールと中性脂肪の合成を阻害する働きとリポたんぱくを分解させる酵素の働きを強める働きがフィブラート系薬剤にはあります。

その作用はLDLコレステロール値を下げる力より中性脂肪を下げる力が協力で20-40%も値を下げます。

フィブラート系薬剤副作用

肝機能障害を起こす可能性があります。
さらにスタチン系薬剤と併用すると横紋筋融解症を発症します。

高脂血症の第一選択薬として選ばれるスタチン系薬剤ですが、別の病院でフィブラート系薬剤を処方された場合、必ずスタンチン系薬剤を服用している事を伝えましょう。

ニコチン酸製剤

血中の中性脂肪・LDLコレステロールを下げHDLコレステロールを高めるため、コレステロール値も中性脂肪の値も高い患者さんに対して処方されやすい薬です。

ニコチン酸製剤の副作用

重い副作用の報告はないものの、顔に赤みが出る場合があります。

EPA製剤

厚生労働省も魚の油EPAの摂取を推奨していますが、そのEPA(イコサペンタエン酸)を利用した薬がEPA製剤です。

主に中性脂肪が高い患者さんに投与されます。

EPAは血液をサラサラにする働きがあるため血栓を防ぐ作用がある薬でもあります。

EPA製剤の副作用

血液がサラサラになりすぎ出血が止まりにくくなります。

デキストラン硫酸ナトリウム

リポたんぱくを分解する酵素リポたんぱくリパーゼの働きが良くなるため中性脂肪の値を下げます。

EPA製剤の副作用

血液がサラサラになりすぎ出血が止まりにくくなります。

陰イオン交換樹脂製剤

肝臓でコレステロールが生成されるのを防ぐ
商品名:コレスチミド、コレスチラミン
注意事項:便秘の副作用に注意

高脂血症の薬を飲み忘れたら?

高脂血症の薬は飲み続けることが重要ですので、飲み忘れに気付いた時、1日1回の場合はすぐに飲みます。

1日2回の薬の場合次の服用まで4時間あくように2回目を調整しながら飲みます。

2回分を一気に飲むと腎機能や肝機能障害をもたらす可能性があるので危険です。

コレステロールを下げるクスリは最後の手段

コレステロール値を下げるには、いくつかの方法があります。
病院で治療として行われているものには食事療法、運動療法、薬物療法に分けることができますが、まず行われるのは食事療法と運動療法です。
そしてこの2つを行って効果を得ることができなければ薬物療法を平行させていくことが多いといいます。

その理由のひとつはまずは生活習慣を改善しなければ、コレステロール値を下げるという根本的なことは改善することができないからです。
クスリはあくまでも一時的にコレステロール値を下げるための対処療法であり、飲み続けなければ効果を得ることはできません。

また、どんなクスリにも副作用があります。
コレステロールに関するクスリを服用することによって起こる副作用には糖尿病の発症リスクを高めたり脳梗塞や筋肉を溶かすというものもあります。
副作用はすべての人に起こるものではありませんが、できる限り避けたいものです。 そのためにはクスリは最後の手段であることを理解して、食事療法や運動療法を通してコレステロールを下げることから始めることに努めましょう。